(7月の本)「夜と霧の隅で」北杜夫
(7月 ステキだなと思う 本について)
書いた人:伊藤堂
本のタイトル:「夜と霧の隅で」北杜夫
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ユーモア小説で知られる北杜夫さんだが、私が最も惹きつけられるのは「谿間にて」だ。主人公が山の中で出会った男が、どこまでが現実なのか分からない話をする。確かに感じる、男の暗く燃える執念。妙に心に残る、少し怖い話。私は数年前、雨の日に上高地へ行った。「谿間にて」の舞台は、上高地へ向かう途中の山道。それらしい道を見つけて遠目に眺めた、そのイメージが重なる。読み返すと、ムッとする山の香気が想起されて、ゾクリとする。
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